フィラリアとは・・・・

犬の心臓に寄生する、ソウメン状の寄生虫のことです。(学名:Dirofilaria immitis)

感染経路は、ご存知の方も多いと思いますが、「蚊」です。

 

〇蚊がすでに感染している犬を吸血した時に、フィラリアの幼虫を体内に取り込む。

蚊の体内で幼虫が成長する。

蚊が別の犬を吸血した時に、成長した幼虫が犬の体内に侵入する。

犬の体内に侵入した幼虫は、さらに成長を続けながら移動し、約半年後に犬の心臓に達する。

犬の心臓の内部で生殖を行い、幼虫を産む。

血中に流れたその幼虫を、別の蚊が吸血の時に取り込む。→ほかの犬へ
フィラリアの説明

 

こんなサイクルで感染が成立しています。手書きの絵でスイマセン。

 

病気の症状は、主に心臓に寄生している成虫によって起こります。

心臓の中は小さな部屋に分かれており、精密な弁によって血液の流れを制御しています。ちょうど、ポンプみたいな構造ですね。

その中に細いとはいえ、ひも状の虫が寄生していたら・・・

まず、虫がぶつかる刺激によって心臓の内壁が痛みます。また、虫の分泌物や排泄物によって心臓や血管の変性が起こります。心臓の中の弁に虫が悪さをすることもあります。

その結果、心臓はポンプとしての働きを十分にこなすことが出来なくなり、体の中に「うっ血」と呼ばれる血液の流れが滞った状態が起きます。

そうすると、腹水が溜まったり、肥大した心臓が気道を圧迫することによる発咳・呼吸困難を起こしたり、また、突然心停止の原因にもなるとも言われています。

結構怖い病気なんですね。

もうひとつ厄介なのは、一度感染すると駆除が非常に難しい、ということです。

駆除する薬はありますが、副作用のリスクが高いのです。
また、駆除に成功しても心臓や肺への後遺症はずっと残ります。

 

ですから、この病気は

 

「予防をしっかりして、とにかく感染させない。」

 

これがすごく大事です!

 

鳥取県の平均気温から換算すると、6月から12月までの7ヵ月間、月に1回予防薬を飲ませれば予防できます。

※温暖化の影響か、非常に暑い年はこの限りではなくなってきました。今後、予防開始が前倒しになる可能性もあります。

すでにフィラリアに感染している状態で予防薬を飲んでしまうと、副作用が強く出る事がありますので、当院では毎年予防シーズンの前に血液検査を行います。

 

薬の種類はチュアブルと錠剤です。飲ませやすいほうをご指定ください。